AmericaC


 穏やかな月光と星光に見守られ、漆黒の夜闇に優しく抱かれる夜の世界。
 夜は眠りの世界。ありとあらゆる生き物が眠る時。一部の生物を除いて。
 夜と一部の生物が眠る時が来た。同時にほとんどの生物が眠りから覚める時がやって来た。
 朝がやってきた。
 世界は明るい太陽の光の下に活動し、生命の光を受け取る。
 そして、荒野にも太陽の光がそそがれ、今日も生命はゆっくりと動き出す


「…パネルラ ………カムパネルラ!」
 みみもとでなにかきこえる……
 なんだろう。ききおぼえあるなぁ?
 ん〜〜〜〜〜………おもいだせない
 ……ま、いっか。もうちょっと。もうちょっとこのきもちいいせかいでねていたい……
「起きてってばっ! てか、起きろ!!」
 んむぅ〜〜。ウルサイなぁ。なんなのよぉ〜〜。
 とりあえず、からだをおこしてみる。
「………んむぅ〜〜〜〜」
 あたまぼ〜〜〜っ。
「やっと起きたね」
「むぅ?」
 こえがしたほうにかおをむけてみた。
 なんかくろいねこ……?
 …………
 おなかすいたなぁ。
「………おいしそう」
 くろいねこをみながら、むいしきにことばをだす。
「まるやきにして……かぶりつきたい……」
 そういったとたん、ひだりほほにするどいいたみがはしった。

秘奥義 爪痕田んぼの字っ!!!

バリッ!!! ババリッ!!!

「いったーーーーーーーーっ!!!!!」
 いたいいたいいたいいたいぃぃ〜〜
「うぅ。痛いよぉ〜〜」
 頬をさする。涙がこぼれる……
「目、覚めた?」
 ジョバンニが怒りの笑みを浮かべて聞いてくる。
 怖いよぉ
「……うん」
 涙目で鞄をあさって、鏡を取り出して見ると、キレイな田んぼの漢字が浮かんでいた。
「うぅ……見事な田んぼができてる……」
「自業自得だからね」
「うぅ……」
 ちょっとへこむなぁ……
 そう思いながら、周りを見回してみる。
「…………?」
 何でこんなトコにいるのかなぁ?
 ……………ああ。
 昨日はココで野宿したんだっけ。忘れてた。
 行商人のオジサンにご飯をご馳走してもらって、
 アメリカのことを話して、
 そしたら、オジサンがアメリカの事を知ってて、だから、聞いたら
 ………………………
 ……………………
 …………………
 …………
 ……
 そうだ。オジサンは教えてくれなかったんだ。
 そしたら、頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなっちゃって
「………そのまま寝ちゃったんだっけ……」
 その事を考えてると、また頭の中が真っ白になっちゃうな。
 よし!

パァンッ!
 気合入れがてら、ほっぺたを思い切り叩く。
 ジョバンニが少し驚いた顔で見てるなぁ。
 目も覚めたし………
「………傷口にしみたぁ〜〜〜……痛いよぉ〜〜〜〜〜〜」
「…………馬鹿」
 ………ジョバンニの言葉の方が痛いなぁ……
 あ、そだ。聞きたいことがあったんだっけ。
「ねぇ。まだお日様もそんなに高くないのに、何で起こしたの?」
「あー。ソレはね……」
「それと、あのオジサンは?」
 もう一つの疑問。近くにあのオジサンの姿が見えないの。
 少し離れたところにオジサンの馬車はあるんだけど。
「まとめて説明すると、オジサンはもう出発するんだって。だから、起こしたの」
「ナルホド……って、それ本当?」
「そんな嘘言ってどうすんのさ」
「…………」
 タッと私は駆け出した。目指すは(そんなに離れていない)オジサンの馬車。
 ココからじゃ見えないけど、そこにオジサンはいる! 間違いありませんっ!!(笑
「オジサーーーーーーーーーーン!!」


「っと、んなとこか」
 とりあえず、荷物はこれで積み終わりっと。ぼちぼち行くかな
 まずは、一本吸ってからにするか
 ポケットから煙草とマッチを取り出して、火をつける。
「……………ふぃーー」
 空に煙を吐き出して、その煙を見る。
 段々空に溶け込んでいく。最初の一息の時に俺はこれを必ず見る。
 何だか幻想的っつーか、何つーか、なぁ?
 聞いても仕方ないわな
「オジサーーーーーーーーーーン!!」
 そんな事を考えて空をぼんやり見上げていたところに、あの子の声が聞こえた。
 起きたのか
 声がした方に顔を向けてみれば、案の定あの嬢ちゃんが(たいした距離も無いだろうに)走って来る(本当にご苦労なこった)。
 ………何か顔に赤い線が走ってるなぁ……
 …………気になるが無視しておこう。後が怖いから。
 そうこう言っている間に嬢ちゃんは俺の目の前に辿り着き、口を開いた。


 カムパネルラがたいした距離も無いのに走り出したから、僕もとりあえず走って追いかけた。
 おじさんの前に辿り着くと、カムパネルラは言った。
「どうして、もう、行っちゃうんですか?」
 ……息絶え絶えかよ。何年旅してんのさ? 寝起きだから? そういうことにしておこうか
 話を戻して
 カムパネルラの息が整うのを待ってから、オジサンは口を開いた。
「おう。俺は行商人だ。旅行く者、街人全ての人間に売るのが俺の仕事だ」
 オジサンは続けた。
「今から行けば、ちょうど昼前に到着できる。ついでに品物も補充できるからな」
「なるほど。行商人っというのも大変なものですね」
 僕は感心した。そして、カムパネルラも……
「こんな朝早くに起きなきゃいけないんだもん。ホント大変ですねぇ」
 ………カムパネルラも感心した……。(何かずれている気がするけど)
「くぁっはっはっはっは! 嬢ちゃんらしいな!!」
 ん〜。さすが行商人。もうカムパネルラの事が分かってる……。
「大変だけどよ…でもよ。こいつとこの商業やるってのはな」
 そういいながら、オジサンは馬車に繋いでいる馬を撫でる。
 とても大事そうにしている馬だ。とても、毛並みが良い。
「俺にとっての“アメリカ”だからな」
「「へ?」」
 え。オジサン今なんて?
 今“アメリカ”って言ったよね
 オジサンは口を滑らした事に気付き、はっとした。その拍子に咥えていた煙草を落とした。
 そして恐る恐るカムパネルラを見た。
「それ、どういうことですか?」
 満面の笑み
「イヤ、ナンデモナイ。キニスルナ!」
 ………何故カタコトに?
 どうやら、意地でも聞き出すらしく、僕を抱えて前に突き出した。
 僕も爪を構える。
「教えてくれますよね?」
「…………(滝汗)」
 僕の爪が朝日に反射して光る。それを見てオジサンは顔を引きつらせる。
 引っ掻かれるか、全てを話すか、オジサンに選択肢が迫る。
 さぁ、どうする、オジサン!!
 ………………
 オジサンは大きく息を吐いて、口を開いた。
 いよいよ僕らの旅の目的地が分かる!
 僕らは身構えた。
 そして………
「悪いが、おれはもう行く!!」
「「何ーーーーーーーーーーーーーーっ!?」」
 あっけに取られる僕らを無視して、オジサンは馬車に飛び乗った。
「ちょっ、オジサン」
 カムパネルラが抗議の声を上げた。
「大丈夫! お前ら二人(?)なら、もうすぐ“アメリカ”を見つけられるさ!!」
「それって、どういう……」
「じゃぁなっ!」
 オジサンは一方的に言い、そして馬車で去っていった。
「……………」
「……行っちゃったね」
「うん……」
 馬車が走ることによって発生する粉塵が見えなくなり、ポツリと呟いた。
 結局あの人は僕らに答えを教えないで去っていった。
 よく分からない言葉を残して。
 でも、それは何故かとても大事なモノだと僕は思う。
 ううん。僕だけじゃない。きっとカムパネルラもそう思っているだろう。
「……とりあえず、ご飯しない?」
 その言葉に僕はちょっと呆れた。でも、「腹が減っては戦が出来ぬ」という言葉がある。
 僕は素直に頷いて、僕達はいつもより早い朝食を食べることにした。
 ゆっくりと太陽が空を昇る。
 荒れ果てた大地に日の光が降り注がれている。
 太陽の光はまるで、荒れ果てた大地に活力を与えているみたいに、大地が活き活きしてくるように感じられる。
 それは僕達にも言えるみたいだ。
 俄然僕達は“アメリカ”に行こうと決めた。
「絶対絶対見つけてやるんだから!」
 空に昇る太陽に僕達は誓ったのだった。
「次にあのオジサンに会ったら、絶対引っ掻かせてやるんだからっ!!」
 ………そんな事も太陽に誓った(カムパネルラだけ)
 しかも、引っ掻くのは僕なんだよね……



To be continued...


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